図書館の大魔術師(1)
発売して随分経ってますが、非常に好きな内容だったので紹介します。ちなみに1話は公式サイトでも試し読みできるみたいです。
舞台はよくある中世風の世界。王道中世ファンタジーと言ったところでしょうか。本が好きな主人公は"貧民街に住む耳長族"として差別的な扱いを受けています。 しかし主人公はいじめにひたすら耐え、いつか誰かが迎えに来てくれる時を待っています。
学校にも貧民街にも友達はいません。主人公の味方は、唯一の家族である姉と森の動物だけ。この状況で腐らずに生きてるだけですごいと思っちゃいます。
姉に何故学校へ行かなければならないのかを問うシーンでは、理不尽な差別やいじめを受ける学校へ行きたくないという気持ちと、姉はすべて自分のためを思ってくれているという信頼との間で悩んでいたことが伺えます。
(他の貧民街の子どものように働けば学校で差別を受けることもないし、同じ貧民街の子らから疎まれることもないのではないかという気持ちがあると思いますが、主人公は耳長族という生きづらいハンデを背負っているので他の貧民と同じではさらに大変な目に合うと考えた姉の気持ちを理解して、納得したようですね。)
ある日憧れの大都市から司書が村に来ます。集団でいじめられる主人公に割って入り、さらっとかっこいい事を言う司書さん。
と、ここまでが1話の内容なんですが、細かい所までしっかりと作りこまれていて非常に面白いです。最近は色んなレベルの作品が乱発されていて、ちょっと考察すると「あれ、これってなんかおかしくない?」といった気持ちになる漫画も多いですが、この作品は考えれば考えるほど楽しくなる内容でした。
これは読んでもらえればわかりますが、1巻の内容がちょうど第一章のような形になっていて、1巻だけでも非常によくまとまっています。まるで映画を読んでいるような気分になりました。
おすすめです。